「小児がん」は、1万人に1人の確立で発生する病気です。大人のがんと違うのは、当然ですが、喫煙や飲酒、不摂生といった生活習慣とは無関係。遺伝的要素が大きいとも言われており、子どもの死因上位3位の中に、常に入っています。それでも、以前は治らなかった「小児がん」も、いまや7~8割は治るようになりました。しかしそれは同時に、子ども達の闘病生活が、長期にわたることを意味します。
政府は、小児がんに関する医師や専門家を集約するため、全国で「小児がん拠点病院」を15か所指定しました。お父さん、お母さんは、病院の近くにアパートを借りて、「元の家」と「アパート」と「病院」の、3重生活となっています。
たいていの病院では、「小児がん」と闘う子どもは、親から引き離されてしまいます。面会時間は一日5時間まで。例外的に親が夜中に泊まることができても、あくまでパイプ椅子か、良くても簡易ベットを広げて横になるだけ。長期間にわたって病気と闘うには、子どもにとっても、両親にとっても、大変な負担になっています。
こうした状況を改善すべく、「小児がん」でわが子を無くしたお父さん、お母さんが中心となって取り組んでおられるのが、「チャイルド・ケモ・ハウス」事業。「ケモ」とは、がんの「化学療法」を意味します。この「ハウス」では、「小児がん」の子どもが「化学療法」を受けながら、ご両親が一緒に住むことが出来る国内初の施設です。
これから、いよいよ運用が始まるという真新しい「チャイルド・ケモ・ハウス」を訪問しました。大きめの窓からは、明るい太陽の光が降り注ぎ、世界的なデザイナーが設計した「ハウス」は、闘病中の子ども達にも、夢と希望を与えてくれるものでした。居住空間から、左の扉を一枚あけると教室へ、右の扉を一枚あけるとクリニックへ、といった造りになっています。しかし、お話を伺うと、実状は決して楽観視できないとのこと。寄付だけでは運営を賄えない、厳しい財政状況。また、数々の規制が、運営の足かせにもなっているとのこと。
これは、「小児がん」だけの話ではないかもしれません。長期の闘病生活を余儀なくされる子どもと、お父さん、お母さんであれば、同じ悩みを抱えているはずです。政治の世界で何ができるか、さっそく取り組んでいきたいと思います。