いさ走る(主張・メディア掲載)

2012.09.19 浸水災害に挑む治水プロジェクトの現場を視察

先月14日のゲリラ豪雨は、みなさまも記憶に新しいところだと思いますが、その後も度々、浸水などの被害が発生しています。
被災されたみなさまにおかれましては、心よりお見舞い申し上げます。

こうしたゲリラ豪雨への対策として期待される大阪府の治水プロジェクトについて、現状を知るため、私は先日「寝屋川北部地下河川」を視察させていただきました。

 

■豪雨時は排水能力を超えることも

みなさんが住む大阪の地下に、なんと4本もの巨大な河が流れているってご存じですか?

淀川と大和川を南北に、大阪外環状線からJRの環状線までの地域、つまり私が住んでいる守口市・門真市・大阪市の旭区・鶴見区の辺りは
比較的海抜が低く、河川へと雨水が流れていかない地域です。雨水や日常的に出る生活排水は、いったん下水道で集め、近くを流れる河川の支流へと、ポンプで強制的に排出しています。

しかし、この支流はすべて京橋付近で合流。
つまり、出口が一つなので簡単に排水能力を超えてしまうのです。

 

■地下に河川をつくり、地上の氾濫を防ぐ治水プロジェクト

そこで現在、大阪府が進めているのが「巨大な河川を地下に作る」治水プロジェクト。
私が訪れた「寝屋川北部地下河川」でも、工事が進められています。
この河川は、地下30メートル、内径5.4メートルの巨大なトンネル。
第二京阪自動車道に沿って整備されており、よく通行している方なら、直径10メートルの巨大な縦穴を見かけられているかも知れません。
実は、ここが地下河川の入口となっていて、ここから入れていただきました。
地上は30度を超える猛暑でしたが、地下30メートルのトンネル内は“天然のクーラー”といえるほど冷え冷えしていました。
トンネルは直径6メートルの巨大ドリルを使って、1分間に5センチずつ、真横に掘り進んでいくそうです。

 

■着工のめどが立たない下流部分

地下河川の上流は萱島のあたりで、そこから門真市を通り、三ツ島、鶴見緑地を経て、最後は都島で淀川へと流れていきます。
工事は現在までに、なみはやドームから鶴見緑地にかけての途中部分は完成。
すでに稼働しており、大雨の際には一時的に雨水をためる貯水池となっています。
また、上流にあたる萱島~門真市の部分は、現在工事が進められている部分です。

しかし下流の鶴見緑地から都島、そして淀川に放流する部分は、着工のめどが立っていません。
街の安全・安心に関わる事であり、早期の完成をめざすべきですが、現実には、資金面や用地の買収などさまざまなな課題があるのです。

 

■検証を重ねつつ、安全・安心な街づくりの推進を

公明党が提案する「防災・減災ニューディール」政策。
これは安全・安心な街づくりのために、10年間で100兆円を投資し、景気回復をも行っていこうというものです。
このプロジェクトにおいても、政府の支援策が大きなバックアップとなるかも知れません。
しかしその上で、税金を投入する以上はきちんとした評価も必要でしょう。

この治水プロジェクトは「戦後最大の降雨量」を想定して計画されました。
この「戦後最大」とは、昭和32年に八尾市で発生した大雨であり、1時間あたり62.9ミリ、24時間で311ミリでした。
しかし、先月のゲリラ豪雨では守口市の1時間あたり降雨量は108ミリ、門真市でも91ミリです。
つまり、1時間あたり雨量で想定を超えているのです。
総雨量については、先の八尾のデータには届かないものの、こうしたゲリラ豪雨は多発しています。
こうした観点も含め、プロジェクトを不断なく検証していくことが大切です。

また公共工事は、総費用の半分を国が負担し、府・市が4分の1ずつ負担します。
このプロジェクトのように、「安全・安心な街づくりに必要」な集中投資に関しては、府や市の財源不足が足かせにならないような配慮も検討する必要もあるでしょう。

さまざまな課題を解決しつつ、着実に進められている治水プロジェクト。
見学する中では、トンネルを掘り進む先端技術や巨大な縦穴を崩さずに作り上げる工法など、
「日本の技術力だからこそ実現可能な工事」という部分も数多く発見しました。
こうした日本の最先端の技術をいかして、必要な部分はきちんと評価し、投資すべきところには躊躇なく投資する。
これが、私たちの生命を守り、災害に強い街をつくっていくことにつながります。
いさ進一は、こうした地元のためのプロジェクトについても、現状を常に把握しながら、問題解決やより良い方向へ前進していけるようこれからも現場を歩き、真正面から取り組んでまいります!