いさ走る(主張・メディア掲載)

2012.06.02 大阪を「医療先進地域」に! 新しいがん治療の挑戦。

5月9日、私は熊取町にある「京都大学原子炉研究所」を訪問しました。この施設では、次世代の治療法として期待される「ホウ素中性子捕捉治療」(BNCT)について研究しています。患者さんへの負担もより少なく、より確実に治療できる技術開発をうかがい、私もこうした技術開発を応援したいと強く感じました。

 

■日本は、がん治療で世界をリードすべき国!

いまや日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人がそのがんで亡くなってしまう時代です。これまでも外科手術や放射線、薬物などで治療が行われ、最近では「粒子線治療」と呼ばれる先進医療を受けることが可能になってきました。この後紹介させていただくBNCTは、これまでの放射線治療では課題となっていた「正常な細胞へのダメージ」や「長期間にわたる治療によって患者に負担となる」点を克服する効果的な技術。かつて、心疾患が死因のトップだったアメリカで心臓カテーテル治療をはじめとした先進的な医療技術が次々に開発されたように、日本においては死因トップであるがんの治療の技術開発に力を入れ世界をリードしていくことが重要なんです!


■BNCTとは?

この施設で日夜研究に取り組まれているBNCTという治療法。これは、がん細胞がホウ素と呼ばれる物質を取り込む性質を利用し、このホウ素をめがけて中性子をビームのようにあてて、がん細胞を破壊する治療技術です。中性子はホウ素にしか反応しないため、ホウ素を取り込んだがん細胞だけをピンポイントで破壊することができます。まわりの正常な細胞にダメージを与えないのです!また広い範囲にがん細胞があっても、十分な効果が期待できるのです。治療自体も1回わずか30~60分程度で済み、1~2回と日帰りでも行えます。現在も20~30回、1~2カ月かけて行う放射線治療と比べると、患者への負担が圧倒的に軽減できます。

 

■関西から医療を変える!経済を元気にする!

現在、京都大学や大阪大学、大阪府立大学と企業が共同して、BNCTに必要な「ホウ素同位体」の薬剤の開発、また中性子線を照射する機器の開発などに取り組んでいるところです。実際に治療を行った症例数も300を超えており、既に大きな効果を上げはじめました。
今後、BNCTに関する技術開発が進めば、がん治療は大きく変わります。治療が難しい「がん」でも、副作用が極めて少ないこの治療を受けることができるのです。そして、こうした技術開発が、医薬品や医療機器分野の産業の裾野を広げ、やがては「医療・医薬産業」を日本の成長産業にしていくことにもつながっていくことでしょう。

大阪は長い間、がん死亡率が「全国ワースト1」という不名誉な歴史を残してきました。だからこそいさ進一は、「大阪をがん治療の最先端の街にする必要がある」と思っています。関西を医療先進地域とすることをめざしたいのです。現時点においても、CTやMRIなどの高機能な医療機器は、100万人当たり保有台数で関西がトップなんです!だから素地は十分にあると思います。BNCTの技術開発、早期実用化をめざす。こうした医療分野での研究開発を推し進め、イノベーション(新しい技術による飛躍的な革新)を巻き起こしていくことによって、この大阪を「世界に冠たる医療先進地域」にしていきたいと思っています!