5月7日、私は守口市の「社会福祉法人路交館 桜の園」を見学させていただきました。こちらの施設では、障がいをもつ方が自立して働く支援(就労支援)事業を行っており、主にリサイクルに関する作業に取り組んでいます。
桜の園では半年前から、精密部品加工メーカー・株式会社アスクの協力により、廃電線のリサイクル作業を新たにスタートさせました。それを可能にしたのは、アスクが3年もの時間をかけて完成させた電線はく離機。廃電線の先端をセットすれば、簡単に被覆部分をはがして銅を取り出すことができるのです。人間の手では分離できない細い廃電線も、この機械があれば処理できるといいます。「彼らは根気があり、素晴らしい集中力を持っている。私たちならすぐに飽きたり、諦めたりするような作業であっても、丁寧に作業を継続できるんです」と施設の方がお話される通り、太さや長さも違う状態で混ざった廃電線を効率良く仕分け、機械を使って作業されていました。「この仕事が好き」と作業をする方がイキイキと話す姿がとても印象的でした。
私たちが住む日本は、世界第2位の銅の輸入国。ほぼ全量を海外から輸入しています。そう考えれば、廃電線に含まれる銅だって大事な資源ですが、現状は人件費の安い中国へと廃電線が輸出されています。これはさまざまな視点から論じられる問題ではありますが、日本で資源を再び利用できるチャンスを逃しているといえるでしょう。「ものづくり」を行う中小企業と連携し、こちらの施設のような作業ができるようになれば、「障がい者雇用」も「資源確保」の問題も同時に解決できる。私はそう考えています。
障がい者の月収は全国平均で1万3000円、大阪府は9000円で全国最低です。1ヵ月働いても、交通費や昼食代ですぐに足が出てしまいます。こうした状況に政府は、障がい者が働く施設への業務委託や商品購入を優先的に行う法案を成立させ、障がい者の工賃倍増をめざすといいます。これも1つの方法でしょうが、私は障がい者が得意とする分野で、さらに経済合理性も十分にある仕事を生み出していくことが、持続可能な障がい者雇用政策だと思います。
いさ進一がめざすのは、日本をイノベーション(新しい革新的技術の開発)によって、社会が抱える問題・課題を解決していくこと。そのために、日々力を尽くしていきたいと思います。