いさ走る(主張・メディア掲載)

2012.10.26 新しい農業技術が拓く、問題解決の可能性<下>

新しい農業技術が拓く、問題解決の可能性<上>からつづく

■農業コラボレーションが広げる可能性

グリーンファームでは、
いくつかの「コラボレーション」が
試行されています。
その一つは、「障がい者就労」という
観点のコラボレーションです。
車イ スに乗って収穫作業をする身体障がい者の方々。
苗つけに没頭されている知的障がい者の方々。
グリーンファームでは、障がい者の方々の「就労継続支援事業所」として
農業と福祉がつながる「農福連携」の実現に、取り組まれていました。

また、「農業」と「脳科学」のコラボレーションというものも。
いうなれば「農脳連携」ですね。
「農業」そのものが精神に与える影響とは?
脳の活性化やリラックスにどのような効果があるのか?
などについて、大学との共同研究を行っているそうです。

さらにもう1つ、これらを支えるのが「農業」と「建設」のコラボレーションでした。
『高床式砂栽培農業』成功のポイントは、
「砂を敷き詰めた培地を、いかに水平に設置できるか」です。
培地が少し でも傾いていれば、肥料となる液体の吸収が偏ってしまい、
作物を均等に育てることができません。
そこで役に立ったのが、なんと「とび職」の技術なんです!
「とび」の技術なら、どんなに傾いた土地であっても、でこぼこの土地であっても、
地上に水平な足場を組むことができます。

実は、グリーンファームの母体は建設会社。
日常的に「とび」の技術を駆使して仕事をしています。
この技術を生かせば、整備されていない休耕地など
どんな土地にも『高床式砂栽培農業』の培地を設置できます。
しかも、二段、三段と培地を重ねて設置することで、狭い土地の有効活用にもつながります。
これはまさしく、建築家の発想なのです。

 

■『高床式砂栽培農業』への期待と課題

『高床式砂栽培農業』は、農村地帯の大規模な農場経営ではなく、
都市近郊型の農業に適した新しい方式です。
都市に近いということは、穫れたての葉物野菜が、地元の店にも並ぶことが期待されます。
また都市部や近郊地域の雇用創出、とくに青年の雇用を生み出すことにもつながるでしょう。
あるいは、津波で塩害を受けた東北の農地に、新たな活用の道を拓くかも知れません。

しかし、普及をめざすには
解決すべきいくつかの課題が残されています。
たとえば、農地への規制。
培地を水平に保つ、あるいは車イスでの農作業をするためには
地面にコンクリートを打つ必要があります。
しかし農地にはコンクリートを打てない規制があるのです。

また、障がい者就労の観点では、
グリーンファームのような形の「就労継続支援事業所」があったとしても、
そこでせっかく身につけた農業のノウハウを発揮できる
実際の雇用が不十分なのです。
つまり、農業分野において
障がい者雇用の受け皿を増やしていくことが求められます。

ほかにも、目前にはさまざまな課題なありますが、
私はこうした課題を克服していく力こそ、政治が担うものであると考えます。
いさ進一は、こうした課題の一つ一つを具体的に解決し、
日本における農業の発展、障がい者就労の確保、
そして食糧安全保障の強化に向け、今後も努力して参りたいと思います。