いさ走る(主張・メディア掲載)

2014.01.23 「がん対策」で重要なこと

医療政策は、病気になった方々をどう治療していくかだけではありません。病気にならないための予防や、あるいは早期発見を促す取り組みも、非常に重要です。そうした観点から、公明党はこれまで、病気にならないための「ワクチン接種」や、あるいは「検診」に力を注いできました。

女性特有の乳がんや子宮頸がんは、5歳刻みで検診無料クーポンが配られてきました。公明党の取り組みの成果の一つです。しかしそれでも現在、受診率は30%前後。とりわけ大阪は、全国最低レベルの「常連」となっています。結果、がん死亡率も、長らく全国ワースト1でした。

検診受診率の向上を目指して取り組みを進めている、大阪府池田市を訪れました。同市では、がん検診の無料クーポンが配布されても利用されていない方々に、あらためて「無料検診が受けれますよ!」という通知を郵送する、「コールリコール運動」を進めています。これにより、検診受診率が8%ほど上昇したとのことでした。

政府は、「がん対策推進基本計画」で、がんの検診受診率50%を目指しています。全国平均30%ですから、まだまだ頑張らねばなりません。「無料クーポン」があっても検診を受けない方々に、その理由をアンケートで聞いてみると、まずあがるのは「忙しくて受診できなかった」(49.2%)。そして、「これから受診するつもりだった」(41.4%)、「産婦人科には行きづらいから」(23.4%)と続きます。やはり、検診の理由単独で有給をとってもらって、病院に足を運んでもらうことは、忙しい社会人、子育て世代にとっては難しいかもしれません。

それなら、必ず行く必要のある何かの用事のついでに、検診も受けてもらう仕組みをつくるという考え方もあります。その、「必ず行く必要のある何かの用事」を、どのように設定するか、人生の関所をどこに設けるかが、議論されるところですね。

検診とも関係しますが、「がん対策」において私が取り組みを進めているのが、「がん教育」の推進です。3人に1人はがんで亡くなる時代、2人に1人はがんになる時代ですから、身内の誰かががんである経験を持つ子供たちも多いはずです。しかしその割には、がんに対する教育、啓蒙が十分になされていません。学校での授業を通じて、がんを知り、そしてがんを通じて命の尊さを知る、そういう「がん教育」が大事です。昨年、この「がん教育」の必要性について文科大臣に申し入れをさせて頂いた結果、本年からそのモデル授業が始まることとなりました。

これからも、政治の世界でも、がん対策をしっかりと進めてまいりたいと思います。