いさ走る(主張・メディア掲載)

2013.12.07 「特定秘密保護法案」の審議に思う ①

昨夜(12月6日)遅く、「特定秘密保護法」が参議院で可決され、法案は成立しました。これまで私のところにも、多くの方々から心配の声、懸念の声を頂いて参りました。「戦時中の治安維持法の復活じゃないか。」「日本は、いつか来た道に戻るのか」「公明党は、自民党に追従するだけの存在になったのか」新聞各紙を見比べてみても、本法案を連日、徹底的に批判する新聞と、中立に分析する新聞に、はっきりと分かれました。

私が今回の法案審議の中で、感じたこと、考えたことを少し、書き記したいと思います。

 

1.法案はなぜ必要か 

我々公明党は、現在の日本にとって、この法案は必要だと判断して賛成しました。なぜ、必要なのか。

日本は、「専守防衛」の国です。つまり、我が国の思いや考え方を、武力をもって実現することは、憲法第9条が禁じています。つまり、国益を実現していく手段としては、武力ではなく、話し合いで、「外交」で戦っていく必要があるのです。そしてその「外交」において、最も重要なのが「情報」なんです。

中国が突如、「防空識別圏」を設定しました。こうした一方的な宣言によって、尖閣諸島を含めた南西方面の危険度が、一気に高まりました。マッハの速度で動いている航空機同士では、瞬間的な何らかのきっかけで、突然の「撃ち合い」が始まらないとも限りません。我々は、こうした武力衝突、あるいは戦争に発展してしまうという事態は、何としても避けなければいけません。「外交」で解決していかねばならないのです。その時に、最も重要なのが、「情報」なんです。中国の真意がどこにあるのか。日本が取りうるべき選択肢は、どれくらいあるのか。こうした「情報」で勝つことが、「外交」の勝利であり、ひいては地域の平和と安定を実現していくことができるのです。私は、そう信じています。

では、今の政府の情報管理はどうなっているのかと言うと、非常に「ずさん」な状況です。これまで、「外交」の根幹である「情報」が、幾度となく漏れ続けて来ています。報道に出た事件もあるし、そうでない事例もあるでしょう。

私が北京の大使館で勤務していたときも、秘密情報を扱う機会がありました。そもそも、今の政府の極秘情報、あるいは秘情報は、役人自身の判断で、「勝手に」決められるんです。そしてさらに、「勝手に」破棄できるんです。これが、政府の秘密情報管理の現状なんです。こうした「ずさん」な情報管理に、しっかりとルールをつくろう、これが今回の「特定情報保護法」の趣旨なんです。