党科学技術委員会で、視察先に選んだのは「金沢工業大学」。金沢まで開通したばかりの北陸新幹線に乗り込むと、あっという間に金沢に到着しました。
今回のテーマは、産学連携です。大学がやるような学術研究ではなく、この技術でどういう社会をつくるのかという、具体的かつ明確な目的で進めているCOI(Center of Innovation)プログラムのトップランナーである「金沢工業大学」の、「炭素繊維」の研究現場を見させて頂きました。
炭素繊維といえば、鉄よりもはるかに軽く、しかもはるかに強い強度をもつ部材。鉄のように、さびたりもしないし、腐食にも強い。我々の身の回りでは、ゴルフのシャフトや、テニスラケットのフレームのほか、最近では航空機のボディーなどに使われています。
将来は、自動車のボディーはすべて「炭素繊維」になっているかもしれません。あるいは海洋国家日本の資源探査のため、海底8000mにまで届くパイプへの応用もあるでしょう。鉄では、自分の重みで完全に切れてしまう長さです。はてまた、地上数千メートルの高さでそびえたつ、未来の巨大ビルへの利用など、いろんな可能性が拡がります。こうした具体的なゴールをはっきりと見定めて、大学と企業が共同して実現していこうと言う、社会での実用化重視のプロジェクトです。
「炭素繊維」の市場は、現在、東レや三菱、帝人といった日本の企業で、世界シェアの6~7割を占めてはいます。つまり、「炭素繊維」をつくるなら、日本企業となっているんです。ところが、いろんな分野への産業化へのノウハウは、海外の大企業に抑えられています。技術的には、日本に強みのある「炭素繊維」。しかしその商品化という、「おいしい」ところは、海外がおさえている。こうした状況を打破し、これから市場が大きくなる「炭素繊維」の実用化の分野で、日本がリードできるかどうか。これがかかっています。
研究室は、巨大なスペースの空間で、壁やついたての無いオープンスペース。「一つ屋根の下」で、各大学、各企業から派遣された研究者たちがそこかしこに群がり、「ワイワイ」と共同研究がおこなわれます。こうした「ごった煮」状態から、未来を変える新しいアイディアが生まれてくるのでしょう。
本の成長戦略の要、科学技術とイノベーション。いさは、生涯、この分野を強力に推し進めていこうと思っています。