いさ走る(主張・メディア掲載)

2013.11.16 化石燃料からの卒業

石油や石炭といった化石燃料を掘れば掘るほど、二酸化炭素排出量が増えて、地球環境が悪化する。それは広く認識されています。しかし、経済発展重視の国であれば、地球の環境にまで気に留める余裕はないかもしれません。それでは、化石燃料を掘れば掘るほど、経済成長が鈍化していく、こう言われればどうでしょう。こう主張するプレゼンテーションを聞きました。

石油の価格は、長期的な統計をとれば、ひたすら上昇してきています。一時的な価格の上下はあったとしても、長い目で見れば上がり続けるでしょう。その理由はあきらかです。地球に埋まっている化石燃料は、掘れば掘るほど埋蔵量が減り、その希少価値が高まっていきます。そうすると、長期的には価格があがらざるを得ないのです。つまり化石燃料は、理屈の上からも、実際の経験からも、掘れば掘るほど価格が高騰するものなんです。

化石燃料は、他の鉱物資源の価格にも、大きな影響を与えます。鉱物を採掘するという行為には、実はかなりの化石燃料を必要とします。つまり、化石燃料の価格と、鉱物資源の価格には相関があり、これはデータの上でも見て取ることができます。銅にしろ、プラチナにしろ、石油の価格の上昇すれば、鉱物資源の価格も上昇しています。ハイブリッド自動車に必要なプラチナは、そのうち、車一台の値段よりも高くなると言われています。

こうして、化石燃料に頼る経済構造であれば、大部分のコモディティーは石油価格の上昇に伴ってコストがあがり、同時に環境への負荷を増やし、そしてモノの値段があがります。利益率はどんどん下がり、経済が停滞していくのです。つまり、価格高騰が運命づけられている化石燃料に依存する限りは、いずれ経済成長はとまるのです。

世界では、新しい化石燃料を採掘するために6500億ドルを毎年費やしています。一方、再生可能エネルギーに費やしているのは2500億ドルです。この差は、現在においても、拡大する一方だと言います。

化石燃料からの卒業、これは、新しい経済成長モデルを追求することと同じです。経済成長という観点からも、エネルギーシフトをとらえることができる、素晴らしいプレゼンテーションでした。