いさ走る(主張・メディア掲載)

2015.12.15 軽減税率合意。いよいよ気を引き締めて!

12月12日に、自公両党の幹事長が、軽減税率制度の大枠について合意いたしました。明日の与党税制調査会で、いよいよ税制大綱がまとまる気配となりました。
 思えば、私の最初の選挙の時に党として前面に掲げた公約が「軽減税率の導入」でした。経済界や財務省、経済団体など、多くが反対するなかで、国民の皆様の世論だけは「軽減税率導入」を強く支持して頂きました。以来、2回の衆参国政選挙も経て、やっとここまで来ることができました。
 その道のりには、たくさんの紆余曲折がありました。たとえば、与党で合意したはずの「消費税10%時に導入」というのは、「10%になったときに、いつか導入すればよい」という意見もありました。しかし交渉の結果、「消費税が10%となる2017年4月1日から」とすることができたこと。あるいは、「2017年4月1日から導入しても良いけど、対象は米だけにする。」という意見となった時にも、対象の拡大を強く主張し、生鮮食品が対象となり、そして今回の大枠合意では、ついに加工食品まで拡大することができたこと。とにかく、自公協議の中で、自民党に大変なご理解を頂いて、政府はじめ関係者との間で調整の見込みがつきました。

 ただ、これでもろ手を挙げて喜べるわけではありません。いよいよこれからです。そもそも、消費税の使い道は「社会保障」と決めている以上、軽減税率のよる1兆円規模の減収に対して、どこをどう削るかどいう議論をもっと詳細に詰めていく必要があります。
 私は、財源のための削り先として、決して「社会保障」にこだわる必要はないと思っています。確かに、消費税5%から8%へ、そして10%に上がるときには、その税収の使い道は「社会保障」と決まっています。しかし、0%から3%、5%へと消費税が上がっていく時には、その使い道は限定されてきませんでした。消費税10%であがる税収の半分は、国の大きな財布にいれられて、いろんなところの歳出に溶け込んでいるんです。だから、国全体の予算で、どこを財源としていくかを考える必要があります。こうした議論を、来年1年間かけて、与党内でしっかりと協議していきます。
 また、いまさらになって、「軽減税率」は非効率だという批判もあります。つまり、お金持ちの高い買い物の消費税も減らすことになるので、低所得者対策としては非効率だという意見です。これは、低所得者の方々の限られた所得の中で、生きるために必要な支出の割合がどれほど多いのか、理解していない意見です。収入の中で生活費必需品に使うお金の割合は、高所得者よりも低所得者の方が圧倒的に多いのです。こうした様々な批判に対しても、論陣をはっていかなければいけません。
 あるいは、「外食」は軽減税率の対象としない今回の線引きについても、どこまでを「外食」とするかの議論も残っています。「学校給食は外食か」、「ピザの宅配は外食か」、あるいは「高級ホテルのルームサービスは外食か」、様々な局面が考えられます。画一的なルールで縛って、国民の皆さんの感覚から離れるようなことはあってはなりません。あくまで、生活現場の実感に即した形で、柔軟に決めていくべきです。
 さらには、現場の小売りの皆さんの負担感をいかに減らすかです。小銭箱で商売をしている商店街の方々、あるいは小規模零細企業の方々に、軽減税率が多大な負担となるようなことは、避けなければいけません。今回、「区分記載請求書等保存方式」といって、負担を減らす様々な措置を考えました。しかしそうであったとしても、そうした措置をきちんと現場で実行できるのか、あるいは新たなレジの導入に費用がかさまないかなど、丁寧に見ていく必要があります。予算措置を含めて、何らかの手を打っていかなければいけません。

 わたしは、公明党が勝ち取った「軽減税率」は、今の日本にとって最も良い方策だと思っています。しかしだからといって、浮かれている場合ではありません。今こそこうした課題にしっかりと向き合って、気を引き締めて、更に議論を深めていきたいと思っています。