■提言のポイント
○ 初診も含めた遠隔診療の保険適用
○ 「医師による遠隔健康相談事業」継続
○ 感染疑いの人の健康相談から受診勧奨まで行う「発熱外来」設置
○ 簡易抗原・抗体検査への保険適用
○ 「細菌性」「免疫反応」併発も考慮した重症肺炎の治療方針策定
○ 国産の治療薬やワクチンの開発加速化
○ 軽症者・無症状者を受け入れる専用施設確保
■重い肺炎 治療方針を
公明党新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長=斉藤鉄夫幹事長)は3日、国会内で稲津久厚生労働副大臣(公明党)に対し、同ウイルスの感染爆発と医療崩壊の防止に向け、初診を含めた遠隔診療の保険適用や簡易検査の早期導入、重症肺炎に対する治療方針の確立などを求める提言を申し入れた。稲津副大臣は「しっかり対応したい」と応じた。これには同本部の秋野公造副本部長(参院議員)、高木美智代事務局長(衆院議員)、伊佐進一衆院議員が出席した。公明党の提言では、同ウイルスの特徴を踏まえ、感染が疑われる人の診療について、他者への感染を避けるために初診から遠隔診療を認めるよう要請。自宅療養する軽症者などへの遠隔診療の推進も求めた。不安感にかられた医療機関の受診など、感染しやすい環境を避けるために国が実施している「医師による遠隔健康相談事業」の継続のほか、患者を適切にふるい分けることを念頭に、健康相談から受診勧奨までを医療機関で行う「発熱外来」(仮称)の設置を提案した。同ウイルスを検出する検査については、血液を使って抗体の有無などを短時間で調べられる簡易的な抗原・抗体検査への保険適用を急ぐよう要望。検査キットの国産化による安定供給を確保した上で、検疫所での検査や、感染が疑われる人の選別に用いることなどを含め、検査のあり方を検討するよう訴えた。最優先すべき重症肺炎患者の治療に関しては、中国で細菌性肺炎による死亡者が多いことや、過剰な免疫反応により急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と呼ばれる症状を起こす特徴を踏まえ、抗ウイルス薬の使用に偏ることなく治療方針を定めることを提唱。抗生物質も含め、国産の治療薬やワクチンの研究開発を加速化するよう訴えた。このほか、医療崩壊を防ぐ当面の対応として、国と都道府県が連携して強力に感染症病床の確保を調整することや、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)の増産・確保を要望。軽症者や無症状者の入院の受け皿となる専用施設の早急な準備と財政支援を求めた。妊婦や透析患者、精神疾患のある人、外国人などに配慮した対応も促した。感染と重症化の予防では、手洗いや咳エチケットに加え、栄養・睡眠などで体調を整えることや、糖尿病など基礎疾患のある人には疾患をコントロールする重要性について、公共広告機構の活用など強力な普及啓発を求めた。